我々日本PMIパートナーズは国内唯一のセクター特化型のヘルスケア専門バイアウトファンドで、医師資格を有するメンバーを含む専門チームが投資先企業を支援している。
前回に引き続き、実際の投資事例を紹介する。今回は、訪問看護・訪問リハビリを中核に在宅医療サービスを展開し、地域に根ざした医療・介護支援を提供する株式会社あわーずである。
同社の主力である訪問看護・訪問リハビリとは、医師が発行する指示書に基づき、看護師や理学療法士・作業療法士などのリハビリ専門職が利用者の自宅を訪問し、医療ケアやリハビリテーションを行うサービスである。対象となるのは、高齢者や慢性疾患を持つ方、退院直後の回復期患者、小児などで、病院外でも必要な支援を受けられることが特徴である。
〇会社概要
- 主力事業:訪問看護、訪問リハビリ、居宅介護支援
- 事業エリア:東京都
- 売上規模・従業員数: 売上高 約5億円(2025年/5月期)、従業員数 約150名
- 略歴
◦ 2013年に設立され、設立当初は石川県金沢市において訪問看護・リハビリ事業を運営し、翌年2014年より東京に進出。
◦ 東京都内の3つのステーション、ならびにそれらを補完する6つのサテライトを展開し、都市部での在宅介護網を構築。
〇投資した理由
- 第一に、割安かつ訪問看護市場の高い成長性が高い
◦ 高齢化と在宅医療シフトを背景に、訪問看護市場は2025年から2030年にかけて年平均成長率10.5%で成長すると予想されていること。
◦ さらに需要の強い都心部および多摩地区に拠点を有し、特に多摩地区で競争優位性構築の余地が大きい。
◦ 同業他社や過去の投資案件と比較して EV/EBITDAが相対的に割安な水準にあり、今後の市場成長および事業拡大を通じたアップサイドが大きいと判断した。 - 第二に、地域包括ケアシステムの移行へと貢献
◦ 小児科・リハ領域に強みを持ち、地域内での信頼関係を構築することで、地域包括ケアの推進に寄与している点を評価。 - 第三に、寡占進行中のため、高いEXITが期待される
◦ 訪問看護市場の多くが、1事業所のみの運営を行う零細事業者により細分化されおり、ファンドによるロールアップ展開の意義およびその余地は大きいと考えられる。
〇投資先企業における価値創出の取り組み
- 新たな拠点の開設
◦ NPMIによる人材・資金投入のもと、エリアドミナント戦略に沿って新たに3つのサテライト拠点を開設し、サービス提供網を拡大
- 有資格者(医師)の常駐による拠点内部強化
◦ 有資格者(医師)の常駐配置により現場運営の質を高め、医師としての知見を活かした業務改善、戦略浸透、PMIの推進を図る
- 新規出店や既存ステーションの成長に向けて人材確保・定着率の向上
◦ 社内制度の見直しと周知により人材の定着率の向上
◦ 原因の特定と勤務・人事体系の整備(退職者面談などを通じた離職原因、在職インセンティブを特定) - 利用者減少による赤字拠点の経営改善
◦ PMIを通じて自社介護支援事業所との連携により新規利用者の獲得、スタッフの獲得に注力し、売上、営業利益ともに大きく改善 - 専門性の強化および人材比率の調整
◦ 強みである小児科・リハビリ領域について拠点とノウハウを共有し、さらなる強化を図る
◦ 新店を中心に看護師比率を上げ、医療ニーズが高い利用者にアプローチ
〇今後の展望
離職率の低下施策による収益性改善を図るとともに、新規出店を継続的に推進する。 将来的には、東京都西部の多摩エリアを中心に約10地区の店舗網を構築する計画であり、これらの施策により、さらなる企業価値の向上を目指す。
