「電子カルテ」と聞くと、多くの人は病院がすでに使っているシステムを思い浮かべるだろう。しかし今、厚労省が普及を急いでいるのは、それとは別の「標準型電子カルテ」という新しい仕組みだ。
標準型電子カルテとは、厚生労働省が仕様を定め、どの医療機関のシステムを使っても同じ形式で情報を記録・共有できるようにする電子カルテのことである。従来の電子カルテは各ベンダーが独自仕様で開発してきたため、病院ごとにデータ形式が異なり、他院との連携が難しいという課題があった。
厚労省は2026年9月、医療機関向けの標準仕様ver.1を公表した。この仕様に準拠した製品を審査・認証したうえで、2027年4月からの提供開始を目指す方針で、中小規模の医療機関でも導入しやすい価格帯を想定し、普及の裾野を広げる狙いがある。
標準型電子カルテが普及すれば、あなたやあなたの親がどの病院にかかっても、過去の診療情報がスムーズに引き継がれる可能性が高まる。逆に普及が遅れる地域では、紙の紹介状や本人の記憶に頼らざるを得ない場面が続くことになる。標準化は特定ベンダーへの依存(ロックイン)を弱め、中小病院・診療所を含めた市場全体のICT投資を後押しする可能性があり、投資家にとっても市場構造の変化として注視に値する。
■ 日本PMIパートナーズの視点
当社は病院ICT分野への投資を通じて、規模の大小にかかわらず医療の質を支えるインフラづくりに関与してきた。標準化の進展は、投資先が提供するシステムやサービスの導入障壁を下げ、中小規模の医療機関を含めた市場拡大の機会になると捉えている。
