「訪問看護を利用したいのに、スタッフが足りなくてサービスが受けられない」。在宅療養を続ける高齢者やその家族から、こうした声は年々増えています。その背景にあるのが、慢性的な看護師不足です。病院に比べ処遇が低いとされてきた訪問看護の現場が、2026年6月1日から変わり始めます。
今回の介護報酬改定で、訪問看護ステーションは初めて「介護職員等処遇改善加算」の対象となりました。加算率は基本報酬等の合計単位数の1.8%。月間売上300万円規模のステーションで年間約65万円の増収となります。さらに今回の改定の最大のポイントは、賃上げの対象が「介護職員」から「介護従事者全体」に拡大された点です。看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・事務職員まで、常勤・非常勤を問わずほぼすべての職種が対象となります。
市場では既に変化が起きています。加算の取得有無が「転職先を選ぶ基準」として定着しつつあり、求人票に算定区分を明記する事業者が急増。大規模法人(月間単位数150万超)では年間300万円超の増収が見込まれ、M&Aや事業統合の財務評価にも影響を与え始めています。2027年度の本格的な介護報酬改定では、訪問看護独自の加算設計の見直しも議論される見通しです。
在宅で最期を迎えたい、家族の介護を地域で支えたい。そのための人材確保に、ようやく政策的な後押しが動き出しました。
日本PMIパートナーズの視点
今回の処遇改善加算新設は、訪問看護事業の収益構造強化と人材確保の双方に直結する重要な政策変更です。当社が投資先ポートフォリオ企業において取り組んできたPMI×DXによる業務効率化は、処遇改善原資の安定的な確保という意味でも有効な戦略です。加算取得を確実に進めながら人材定着率の向上を図る体制づくりを、引き続き支援してまいります。
