我々日本PMIパートナーズは国内唯一のセクター特化型のヘルスケア専門バイアウトファンドであり、医師資格を有するメンバーを含む専門チームが投資先企業を支援している。

今回も実際の投資事例の紹介を行う。第三回は、患者が使用する病院内アメニティなどのキャッシュレス化および健診システムの自動化を手がけるホスピタルネットである。

近年の日本では、「株主の声を聞く経営」の必要性が高まり、資本効率や企業価値向上への市場規律が強まっている。その結果、株式市場の健全化に向けたガバナンス強化やポートフォリオ最適化が重要テーマとなり、カーブアウト(事業売却・子会社売却)が実行手段として加速している。実際、経産省等の公表資料でも参照されるレコフM&Aデータベースによると、上場企業によるカーブアウトは増加傾向にあり、2024年1-9月期は前年同期比+11.4%、2025年1-5月期は+29.3%と伸びが加速している。本件はその潮流の中でも、ホスピタルネットがTBグループ(東証スタンダード:6775)の持分法適用会社となっていた経緯があり、当社ファンドがグループ内保有株式を取得した「上場会社グループからのカーブアウト型取引」と位置づけられる点が特徴である。

また、前回投稿のロングライフホールディングスにおける「非上場化」と本件の「カーブアウト」、さらに「上場基準の厳格化」といった構造変化に対しても、当社は相対取引×実行力の両面で対応できるケイパビリティを有している。

〇会社概要

主力事業:
病室内の有料テレビや冷蔵庫等をカードタイマーで管理する「Card Timer Business」と、健診施設向けの案内・受付DXを行う「Health Check-up System Business」である。
事業エリア:東京都、大阪府
売上規模・従業員数:売上高 約16億円、従業員 25名
市場環境:
日本のヘルスケアICT/DXは他国と比較して遅れているが、2024年から2033年でCAGR約9.03%伸びると予想されている成長領域。
当該企業は日本の医療機関向けベッドサイド無人決済(プリペイド/QR)領域で約50%のトップシェアを持つ。これは、資本集約度が低く安定的にキャッシュを創出する事業構造である。コロナ後の需要回復を背景に業績は持ち直している。

〇投資した理由

  1. 当社の独自ネットワークからの相対取引により、リターンが見込めたこと。
ヘルスケアITとしては魅力的なエントリー水準であり、マルチプル拡大を狙える条件であった。
  2. 投資前からバリューアップ施策を具体的に設計できたこと。
詳細は「投資先企業における価値創出の取り組み」で記載するが、収益性・生産性の改善余地やチャネル深耕/プロダクト横展開といった課題に対し、当社のネットワークとPMI実行力で解決できる道筋が明確であった。

〇投資先企業における価値創出の取り組み

  1. 重点チャネルでのシェア拡大
当社ネットワークを活用し、取り切れていない大手チャネルを重点攻略する。
  2. ポートフォリオ連携(例:プレアデスセブン)
共通基盤化/クロスセルで、1施設あたり売上を最大化。
    プラットフォーム連携により、これまで外注していた健診システム領域の開発を内製化し、開発スピードを向上。

〇今後の展望

安定的な基盤を伸ばしながら、プロダクト拡張と重点チャネル攻略を通じて、スケーラブルなプラットフォーム化を推進していくことで、更なる企業価値の向上を目指す。