東京商工リサーチによると、訪問介護事業者の倒産件数は2025年1~11月で85件に達し、すでに前年通年を上回り、3年連続で過去最多を更新した。ヘルパー不足に加え、2024年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことが、小・中規模事業者を中心に経営を圧迫した。

倒産理由の多くは、介護報酬の減額や利用者減少による収入悪化であり、負債総額も前年同期比で増加している。訪問介護は在宅高齢者の生活を支える基盤的サービスである一方、人材確保が難しく、報酬改定の影響を受けやすい構造を持つ。政府は介護職員の賃上げや職場環境改善に向けた支援策を打ち出しているが、事業者の経営環境は依然として厳しい。

今回の倒産増加は、個々の事業者の問題にとどまらず、地域における在宅介護の担い手をどのように維持・再構築していくかという課題を浮き彫りにしている。

NPMIは、訪問介護分野では、人材確保や業務効率化に向けた中長期的な取り組みを進める体力を持たない小規模事業者が多く、分散的な事業構造が持続性の制約となっていると考える。経営基盤の強化や事業の再編を進めるには、現場の努力だけでは限界があり、資本と経営の両面からの関与が重要となる。特に介護は制度や地域性、人材の特性が複雑に絡む分野であり、画一的な手法では対応が難しい。NPMIは、この領域に投資し、主体的なイニシアチブを持って地域医療インフラの整備と再構築に取り組んでいく。

参考文献

【用語解説:介護報酬改定】

介護報酬改定とは、介護保険制度に基づき、介護サービス事業者が受け取る報酬水準や配分を国が見直す仕組みである。介護報酬は事業所の売り上げにあたり、原則として利用者が1割を負担し、残りは40歳以上が支払う保険料と国・地方自治体の公費で賄われる。

介護報酬は原則3年に1度改定されてきた。近年の改定率は、2018年度が+0.54%、2021年度が+0.70%、2024年度が全体で+1.59%と、緩やかなプラス改定が続いている。ただし、2024年度改定では訪問介護の基本報酬が引き下げられ、事業者への影響が大きかった。

人材不足や物価高を背景に、2026年度には臨時改定が予定されており、改定率は+2.03%とされている。このうち1.95%分を介護職員の処遇改善に充て、2026年6月に給与を最大で月1万9,000円引き上げる方針である。これに先立ち、2025年度補正予算により、2025年12月から2026年5月までの賃上げ支援も実施される。具体的なサービス価格は今後、厚生労働省の審議会で決定される予定である。

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