親の介護施設を探し始めると、思いがけない「お得なプラン」に出会うことがある。「当施設が運営する訪問介護・訪問看護を利用していただければ、月々の家賃を数万円お安くします」——そう聞けば、多くの家族は安心して契約書に印を押すだろう。しかし、その割引の原資は、実はあなた自身が毎月納める介護保険料や、将来世代が支える介護保険財政から出ている可能性がある。
厚生労働省は2026年9月18日、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を運営する事業者が、系列の訪問介護・訪問看護サービスの利用を条件に家賃を優遇する契約を事実上禁止する規制案を示したと、日本経済新聞が報じた。住まいの提供と介護サービスの提供を同じ事業者が握ると、入居者は他社サービスを選びにくくなり、必要以上に自社の介護保険サービスを使わされる「囲い込み」が起きやすい。家賃を実際の原価より低く見せ、その差額を介護報酬側で回収する構造は、事業者にとって入居者を確保する強力な手段だが、公的保険財政への負担を膨らませかねない。
在宅で親の将来を考える家族にとっても、この話は無縁ではない。「家賃が安い」という言葉だけで施設を決めると、実際に必要な量を超える介護サービスの利用を勧められ、結果として自己負担や保険料の増加につながる恐れがある。住まい探しでは、「箱(住居)」と「ケア(サービス)」の質と料金を分けて見る視点が欠かせない。
■ 日本PMIパートナーズの視点
介護付きの住まいビジネスは、住居提供とケア提供を同一事業者が担う「垂直統合」型が主流である。当社は、住まいとケアの質を両立させながら、公的保険財政に対して説明可能な収益構造を持つ事業者への投資を重視している。今回の規制強化は、透明で良質な運営を行う事業者にとって、むしろ競争力の裏付けになると考える。
